□月 ●日  No1903 業界名「迷い家」


幻想郷というのはしばしば事故で変なものを取り込んでしまう場合が散見されるが
計画的な幻想入りの場合はもちろん可能な限りリスクを減らす方向で調整されるのである。


日用品の類は一度開封が基本。顕界の人間だけにやらせるわけにはいかないので、
現地採用組を主に利用する。一応ここの施設を我々は「迷い家」と呼んでいる。具体的な
位置は誰一人として分からないからであるが、皆がイメージする迷い家とは似てもにつかない
近代的施設である。 


さて、この迷い家という施設、関係者にはこれ以上ない人気の施設だ。
とにかくここには何でも揃っているからだ。
レクリエーション施設や売店、さらに子供を預ける施設まで揃っている。
まさに理想の職場環境と言っても過言ではない。


しかし、この職場環境になっているのは大きな理由がある。
ここに居る人たちを外に出さないためだ。その点でこの施設の発想はまさにIT企業そのものだ。
なにしろ私でさえ、通信システムを一度外されたりスクランブルを掛けられる。
もちろん施設内専用のものを渡されるが、外部との連絡は不可能だ。


顕界では全部立ち仕事 座るの禁止 一定以上の速度で歩くなどのアホみたいな施設もあるようだが
ここではそこまでは酷くない。むしろココにつとめている者のストレス軽減に努めている感じだ。
それだけ外部に漏れると困る仕事でもある。


もちものも入り口で全て渡される。強面の鬼(バイト)が良い感じで威嚇している。
しかし裏から聞こえる声は割と平和そうだ。ちょっとほほえましい気分になる。


そんなわけで多くの幻想郷に行く商品は厳正に管理されているのである。
香霖堂に置いてある品々を見ると、かなりげんなりするのは色々と台無しになっている感覚が
するからだったりするのである。