□月 ●日  No1919 見当は付くかと思います


うちの部署に新しく入ったまだ比較的初々しい二人の乙女を覚えているだろうか。
彼女たちは順調に経験値を積んでおり、幻想郷でごくたまに見られるようにもなっている。
彼女たちは基本的に手が掛からない。 
まず最初から幻想郷の存在を知覚していたというポイントがある。


来訪歴もあり、余計な説明が一切要らなかったことも大きい。
妖怪と会ってもまったく普段通りに接することができる。
もっとも、彼女たちが受け持つ場所は比較的安全なところに限られる。
前線送り概ねこちら側だ。


そんな彼女たちだが取り分け宇佐見蓮子に関しては入社時にちょっとした一悶着を起こしている。
それは彼女ではなく彼女の実家からであった。実家から何故かクレームがきたのである。
通常なら、黙殺しても問題ないのであるが(本人は大変だが)、彼らのクレームの内容が
問題だったのである。そう、宇佐見蓮子の家庭は幻想郷の存在を分かっていたのだ。
そして八雲商事の正体も知っていたのである。


この件に関して、こちらの人間が菓子折を持ってレンコに秘密で実家を訪れることになった。
なぜこの一家が幻想郷を知っているのか知る必要がある。
しかし、大体の目星はついているとのことで、それらについて色々とやりとりが行われたらしい。


家族の説得にあたったドクター東村によれば、家族のために幻想郷の情勢を
包み隠さず伝えないとならなかったという。幻想郷の情勢はかなり古い記録であるにせよ
この家には伝わっていたようなのである。それが何故かについては東村氏は口を閉ざしている。


一つ言えることはとある妖怪の写真を見て、問題ないと判断されたことである。
祖母とおぼしき女性は「これはないわぁ」と叫んで、この件は全て問題なしとされた。
不可解だったがこれで宇佐見蓮子の入社を阻む障害は取り除かれた。


それが誰かについては ここで書くことではないと判断している。