□月 ●日  No1984 税金は納めましょう


確定申告近くになると妖怪達は俄に活気立つ。
妖怪達の多くは副業をしており、八雲商事も副業を会社の本業の差し支えにならない程度なら
許容している事情がある。 これは、妖怪達が永い期間行っている副業が影響力を与えている
ケースが多いからである。


ともあれ、経理部は紛失したという給与明細書と源泉徴収書の再発行に追われ、皆が
殺気立っている。 経理部の中でも副業をやっている者がいるだけに
さらに殺気は満ちている。 もちろん私には関係ないことだ。


朝倉はどうだろう、彼女こそ混怪でそれなりに稼いでいる。
さぞや大変だろうと思っていたが、そうでもなかった。
彼女の申告はカードリーダー付きの電子端末で行われていた。文明の利器は正しく使うべきと
言うのでかなりびっくりする。
呆れる反面、感心もする。


副業で大変なのはやっぱりエレンだろう。彼女のやっていることは実質決算業務である。
しかも内容が内容だけに外部委託はできない。
ソクラテスが全力で経理処理に当たっていた。ソクラテスの便利さは異常である。
外見は少年橙だがこれほど使えるとうちにも欲しいと思える。
しかしエレンの「調教済み」という言葉が引っかかる。


ちなみに三階で国税局の人が相談会を開催している。
国税局の相談会では在野の妖怪達も利用しており、無料で確定申告の仕方を聞くことができる。
もちろん海千山千の妖怪たちがこういうものを利用するわけでもないので
比較的空いているがそれでも30分強は待たされる。


そんなわけで顕界の妖怪達はおおむね平和である。
一部大変な人も居るがこういうものだと思って間違いない。