□月 ●日  No2058 紛争地域


人と妖怪が住まう場所。幻想郷で、人間の体にスペルカードを貼り付ける事案が発生。
幻想郷の人間の数は正しくコントロールされていると謂われ、こうした事件を
起こすのは恐らく顕界から最近やってきた存在であると推察される。


なぜそうなるのか。
それは顕界で妖怪はどのように生きるのかということに直結する。
現代の多種多様な価値観では妖怪達が生きる場所を探すのは些か困難だ。
故に幻想郷で表面だけでも存在を維持する方向に行くのか、それとも
別の手段で生き残りをかけるのかが問題となるだろう。


紛争地域に行くと多くの妖怪に出くわす。
彼らは傭兵の姿で溶け込んでいる。比較的国を渡り歩きやすいし
なによりここに身を寄せていれば恐怖などの感情には事欠かない。


ここでは親切心すら恨みを生む世界である。
妖怪達にとってはこれほど素晴らしい土地はない。
無関係な一般市民に爆弾を仕掛けて恐怖を植え付ける者すら存在する。


恐怖の感情を効率的に集めるために、テロ組織を支援している妖怪も
存在している。こういう妖怪は幻想郷に行っても手に余るので
専門の妖怪や人間が暗殺しに行くなんて事もそう珍しくない。


幻想の世界で同じようなことを試みる者もいるのか。
当然ながら存在する。 目の前でそれをやろうとした者が居る。
目の前の事案がそうだ。
解除を試みるもスタッフの前で一般市民を巻き込みスペルカードが実行される。


巻き起こる轟音。弾幕が通った跡は何も起こらない。悲鳴が起こった地点で
妖怪達が近寄ってくる。彼らにとっても思いも寄らない餌でもある。
バックファイア付きのカード。一般市民にもけが人が起こる。


結論から言おう、カードを貼り付けられた人物は一応生きていた。
血だらけであり、予断は許さないがとりあえず無事だった。
スタッフは解除できないことを悟ると、時限発動式の別のスペルカードを
貼り付けたのである。弾幕生成時なら誤爆防止のためにバックファイアの
大半を防ぐことができる。


こんな妖怪は、博麗の巫女たちが絡むことはない。邪魔をする命蓮寺の連中に
気づかれる前に相手を始末するのである。
相手は遠くに居る事は出来ない。
なぜなら幻想郷内ではスペルカードの事故が起きてもそれ以上の波及もしない。
多くは妖怪達の小競り合いと思われるからだ。
早々に目的は発見され、始末されることになるのである。


幻想郷には禁じ手が存在する。先に挙げたテロルもその一つである。
この行為に至った妖怪は顕界であり幻想郷であっても始末される。
せめて妖怪としての本分を全うして貰いたかったが、もはや消し炭にしかなって
いない彼の痕跡を見てもむなしさだけが残るだけである。