□月 ●日  No2064 幻想美術品


八雲商事は幻想郷に行った品々のポンプ役を果たすことを述べたがその実例をここに挙げてみる。


大規模な戦争が起こったとき、幾つかの美術品を戦火から逃がす必要があったわけで。
特に妖怪達が所有する美術品は将来にわたる有価証券として、その重要性が認識されていたのですね。
ところがここでちょっとした面倒ごとが起こった。
所謂、敗戦国が奪ったとされる美術品の返還問題と言う奴である。
これ、世に出ると、元の持ち主(の子孫)に返還しないといけないのですね。


そこで、そんなものが世に出回ると色々面倒だと言うことで幻想郷に置かれてしまうのですが
結局そこでは満足な金銭的価値にはならず、結局、顕界に送り返して返還した方が色々と
パフォーマンスになるので良いと言うことになっている次第です。


具体的にどうするかといいますと、絵の交換と称してこちらを騙そうとする気満々の方と
絵を交換した後に、奪われた絵だとリークするとかですね。
なかなかえげつないですが、結構よくやりとりされることだそうです。
もちろんその本人は恨まれますが、どうせその代限りの話になるので、妖怪達にとっては
あまり重要な問題ではありません。


そんなわけで、絵を返還する処理をしないといけない場合、これが結構面倒だったりします。
何故かって、絵って結構情念が加わっておりまして、幻想郷に送るとそのまま妖怪化してしまう
ケースがあるのです。顕界に持っていくと存在が消滅したりとかするのですが、
中には抵抗する奴もおります。 また、絵に描いてある有る物が悪さをするケースもありまして
本当だったら上書きすればいいのでしょうけど、これがまた単純なものじゃなかったりします。


この場合、上書きするかどうするかの判断に迫られます。
最近は科学の目で復元されるケースもあるようです。もっとも科学の目で復元された場合、
表面は意外とダメージを受けており、封じられた者がそのままの状態で復帰することは
先ずあり得ません。 丁度三馬鹿の一人の幽霊があの手のパターンだったかと思います。


そんなわけで美術品の処理って色々大変だったりするって事をきちんと言っておきたいわけです。
まあ、夜になると展示品が動き出すなんて博物館も顕界にあるって話ですからね。