□月 ●日  No2065 妖怪はなぜ連帯するのか


天狗という生き物は幻想郷の中で高度に組織化した存在の一人です。
これは二つのポイントがあります。ひとつはある程度の個体数がいるということ。
もう一つは、組織化した方が色々と有利であることをきちんと理解しているということです。


地底に住む鬼も高度に組織化されています。これは地底に住んでいる魔族に対抗するための
措置とも言えるでしょう。確かに鬼は極めて強い存在ですが、一人の能力はやはり限界があります。
ある程度人数が増えることで大幅に効率が上がることを鬼達はきちんと理解しているわけです。


幻想郷である程度個体数が居る妖怪はこのように連帯します。
これは幻想郷という土地の性格上、色々な妖怪が住んでおりその都度ヒエラルキーの変動が
発生してしまうからです。妖怪達が自分のポジションを維持するためにもっとも有効な方法は
強くなることですが、もちろんこれでは限界が発生します。
故に人間と同じように妖怪も連帯するわけです。


妖怪が連帯することでもう一つのメリットがあります。それは八雲紫が用意したインフラ維持に
参加できると言うことです。
鬼も天狗も社会性の妖怪であり、人間の知識を得ることにも貪欲です。
彼らは超人と言える力を持ち合わせますが、それらの力は幾らでもカバーできることを知っています。
だから、インフラの事業に参加することでインフラ事業で得られる知識を獲得することを考えたのです。


インフラは基本的に何処も同じ構造をする必要があります。同じ構造をするにはお互いに申し合わせを
書面で行う必要があります。そうしなければ接続もままなりません。
そのためには書面を理解できる能力が必要となり、それに合わせた基礎学力が必要になります。
組織化することでこうした基礎学力を得る機会を手に入れることに成功したのです。


妖怪も鬼も想像以上に頭が良いのはそれら基礎学力の高さによるものです。
特に天狗は活字を用いたメディアの世界に進出しています。それらは幻想郷における
一定の立場を堅持し、ヒエラルキーの変動に耐えられることを意味するのです。


このように幻想の生き物といえど、その能力獲得には必然性が常につきまといます。
彼らがそうした能力を獲得した背景を知ることは妖怪の地からの根源である謂われを解析することに
役立つことでしょう。