□月 ●日  No2075 幻想の世界のほうが危ない


八雲商事にはたまに幻想郷に行きたいという妖怪がやってくる。
今日やってきた妖怪もその中の一人であるのだが。


幻想の世界で厄介な存在は人の欲につけ込むタイプである。
特に危険きわまりない存在として、人間に金銀財宝を見せるという妖怪が居る。
もちろん、金銀財宝なんてものは存在しない。所謂幻覚なのだが、
金銀財宝を手に入れるべく行動すると殺人を犯してしまうとかそんな代物と理解して貰えば
問題はないだろう。


通常こういった妖怪は幻想郷にやってくることは先ず無い。
理由概ね単純で、顕界にいても別に苦労しないで自分を維持できてしまうことが挙げられる。
しかしながら、彼らにも憂鬱がある。この妖怪、最近は人間の知的水準が上がってしまい
金銀財宝の真贋があっという間に分かってしまうらしい。


そこで幻想郷に生き残りを賭けたということなのだが、正直それはよした方が良いと
説得することになった。 まず金銀財宝があっても色々と換金が難しいこと。
これは妖怪相手に商売している人間があまりに訓練されているからである。


そしてもう一つ、赤と白の巫女の存在である。
こいつのような妖怪もとい人間に捕捉されると多分色々な意味で根こそぎやられてしまうだろう。
騙したことが分かったら、それこそ皆でどつかれることになる。
最近は、赤と白の巫女の脅威をビデオ撮影しており、その内容を見せると
大体の妖怪は恐怖のあまりに幻想郷行きを諦めてしまうのである。


本当の恐怖はゾンビ製造元だったりするのだが、この妖怪にはその辺の話はしないつもりだ。
もっと酷い目に遭うことが見えている。
結局その妖怪は幻想郷行きを諦めた。 世の中は結構ままならないのである。