□月 ●日  No2085 矛盾はのこる


幻想郷でもどうにもならないものがありまして、それが貧困問題というものです。
基本的にどうやっても人間を相手にしている以上は資源が正しく配分されないまま
特定の場所で滞ることがしばしば起こります。
八雲商事としましてもそうした問題は出来うる限り避けたいと思いますが、いかんせんうちは
政府とは違いますので自治については幻想郷住民に任せるしか有りません。


弱者救済とかそういうのをやらかす社員も居ますが、大体の場合碌な結果を生みません。
短期的には効果があるのですが、いずれ依存する者が現れ出します。
これは人間と言うより生き物として仕方ない部分だと思われます。
一応、幻想郷の妖怪はうちらのことをセイフティーネットと考えて居るみたいです。


食料生産について、幻想郷では可能な限り外の世界のテクノロジを持っていこうとします。
注意しないと、食料が増えすぎるなんてことがありますが、この場合は備蓄させることになります。
大体備蓄先は人間じゃなくて妖怪になることが多いのですが、食料配給が滞ると
今度は妖怪が人間に襲われる場合もあります。その場合は妖怪にスペカとかを送る場合もあります。
紅魔館はまさに食料備蓄庫としての役割を果たしているというわけです。


まあ、幻想郷でも貧困による悲劇は起こり得る話であります。
どんなにかき混ぜても淀むものは淀むのですね。また、多少は軽減されますが干ばつや冷害の
問題も無視できません。困ったことにそうした人間の苦しむ様をエネルギー源にする妖怪も
いたりするのでこれが始末が悪い。
そして貧困は概ね人災が招くものでありまして、例えば幻想郷には小作制度を取り締まる手段がない。
それで搾取される人ってどうしてもできてしまうのですね。
こればかりは、どうしろって言うわけでもない。


また、一時よりは改善されているものの病気の問題も結構頭がいたい。疾病対策で色々と
外の世界の技術が投入されているので少しはマシなのだが、それだって病院に行ける人が
居なければ結局寿命なんて伸びない。集落の中に病院が常にあるとは限らない。生活に追われて
病気が治って欲しいと祈っても駄目な場合は駄目。
ちなみに幻想郷に行った八雲商事社員が最初に心折れるのはこのパターンです。
妖怪相手に商売していたほうが遙かに気が楽という現象です。


ただ、こういう社員には顕界で起こっている貧困問題もセットで話しています。
幻想郷も顕界も形こそ変わっていますが、貧困問題は常につきまとうと言うことです。
ただ、そのとらえ方見方はどうしてもそれぞれになるってことです。
もちろん弱者救済活動については八雲商事は特に止めていないってことです。