□月 ●日  No2139 すべてを受け入れること 体勢があるということ


幻想郷の住民に溶け込むことは並大抵の努力では不可能であることは間違いない話でありまして
特に問題となるのが、彼らの小さなコミュニティに入ることの困難さであります。
幻想郷の人里は良くも悪くも小さなコミュニティです。上手くいくと良いのですが
悪い方向に行くとどこまでも悪い方向に行きます。
ちょうど顕界でも病院の先生が地域住民に苛められた上に追い出されるなんてことがありますが
同じようなことが幻想郷でも起こりうるということであります。


実のところ薬屋が永遠亭に閉じこもっていたのもその辺が原因と言われています。
どうも一回追い出されたみたいなんですね。
彼らが高慢ちきだからと思うかもしれませんが現代の思考で考えると合理的なのです。
やはり医療の場合、治療を受ける側も知識が必要だということがわかります。
たとえば、種痘はそのいい例と言えるでしょう。最初は病気を体に入れるとは何事だと
思うかもしれません。 また絶対成功するわけではないですから小さな失敗をあげつらって
いつまでも責める人が現れても不思議ではありません。


このように、人間というのは不幸を自分の心の中で容易に処理できるほどうまくできていないわけです。
また、本当に食べるものがなくなって困窮しますと、医療どころの騒ぎではなくなります。
病院に連れて行けば問題は解決するけど、病院に連れて行って短い命を少し伸ばした程度では
意味がないというわけです。むしろ支払うお金で余計に困窮することになるという悪循環が
まっているという寸法です。
本当にままなりません。


このように幻想郷において外の世界のものを持ち込むことはいろいろな意味で難しいです。
なので外の世界の人たちには自分たちが簡単に幻想郷に溶け込めるとは思うなよというようにしています。
幻想郷はなんでも受け入れますが、残酷なことである。 実のところ受け入れた先が本当に問題なのです。
もしもそれを止める者がいれば。 いないという事実が実は残酷なのかもしれません。