□月 ●日  No2166 すでに手遅れ


 いつかはばれることであったが、我々人類も過去に大きな文明の痕跡を見つけて色々騒ぎになっている。
月面人が地球から撤収するときに海底に投棄したというのが色々な意味で問題になっているようだ。まあ連中にしてみれば現代の我々が
海底探査に至っているというのが予想外なのかもしれない。しかし海溝に捨てれば大丈夫と考えたのは些か適当すぎたのではないだろうか。
せめて打ち上げて宇宙に捨てれば大気圏に入ったときに燃え尽きるチャンスがあると思われる。
それはそれでコストが高いから嫌だと言われそうで困るが。


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 何故そんな話をしたかと言いますとですね。
 最近では月面人の混怪ツアーが本当に流行っているからなんですね。はるか上空から連中たちの姿ってよく見えるそうなんですよ。
彼らはいわゆる宗教的儀式と思っていたみたいで、実際に彼らの動きの統制やらを見るとかなり奇異に映るらしいです。
彼らも人が集まる場面はよく見ています。大体が宗教的理由で集まるわけなのですが、このイベントに関しては彼らの
思考でもわからないというのですね。


 それでとうとう月面人が一般入場するに至ったというわけです。
 先日奴らが入場するためのカタログとやらを配布しまして、いろいろと説明しているのですが、一体何をするところで
どういうところなのか興味津々なのはわかるのですが、連中イベント後もびっしり予定を組んでいるんですね。
たぶんそれは無理だと思うのですけどね。


 何かを買わせるというわけではないので別段早くから並ばせる気はないとツアー客に言ったら「話が違う」と文句を言われました。
連中は並ぶ気満々です。あの炎天下の中並ぶ気です。 そして驚愕の事実を知らされました。
連中はすでにあそこに進出していました。そうです月面戦争は何度も繰り返されていたんです。戦争の中身が違う気がしますがね。
 挙句幾つかはサークル参加してます。もうだめかもしれません。
 そう、目の前にいたのは既に訓練された、そして我々を格安バスツアーだと思っている連中だったのです。


 注意事項説明会はほとんどが反故になりました。問題は何時に並べるのかになっています。
 予定が狂いまくりです。出来るだけ近くにバスを止めて、そこから歩いて移動するということになりました。
 むちゃくちゃです。


 どうやら、連中の中にはイベントスタッフになっている人までいるそうです。 もうだめかもしれません。
 しかし、この話を聞いて最初に思ったのは、たぶん月面人と友好関係を結ぶのは可能だということ。
仮に地上が占領されてもここが非武装中立地帯になるということでありました。


 
 あいつらすでに終わってた。