□月 ●日  No2197 蝗害と戦う


幻想郷にとって虫たちの制御というのはとても重要な要素と言える。
幻想郷でひとたび翅虫が増えればほぼ壊滅的な被害を受けることは間違いない。
隔離空間の中で耕地面積が限られた幻想郷ではそれはクリティカルな現象となるだろう。
幻想郷隔離の初期段階でこれらの問題はとりだたされて、対応策が練られた。
幻想郷の人口が増えるにしたがって森が開墾、草原が広がることで、飛蝗たちが大量発生する
土壌ができると考えられたからである。


幻想郷において有名な虫の妖怪と言えばリグル・ナイトバグ黒谷ヤマメ女史だが
昆虫の世界というのは一枚岩じゃないし、増えるかどうかについては割と環境的要因が
多いとされている。特に注意しないといけないのはやはりトノサマバッタだろう。
しかも幻想郷では変ないわれがついているケースも少なくない。
奴らの後ろ蹴りで機械が壊されることもある。自称現人神は当然だと言っているが
我々も首をかしげる現象だ。その割には特別な飛距離になることはないからである。


飛蝗の対策は顕界と同様のルールが採用される。
採用しないと危ないから当然のことだ。 
こうした蝗害は、風見女史にとっても大迷惑のようだが、もちろん対策を取らないわけではない。
幻想郷分離当時も蝗害は回避できなかったが、この時はピレスロイドを用いた戦法を用いた。
すなわち除虫菊を短時間のうちに大量増産、バッタたちの移動場所に妖怪たち総出で散布する。


運がよかったのがこの当時から黒谷ヤマメ女史が幻想郷検疫のために
作戦に参画していたことだ。彼女は卵の存在を示唆して、比較的小さな大量発生を
発見した段階で駆除する方法を提案している。
このやり方は顕界にも持ち込まれ、現在では超低量散布と言われるピンポイント
殺虫剤処理が行われるようになっているという。


幻想郷においては妖怪によって殺虫剤で毒性を受ける者がいることから、
あらかじめピンポイントで薬を散布する場所では避難勧告がでる。
飛蝗たちにそれがばれるかどうかについては割と知恵比べになることが多いようだ。


この点はしがらみが多い幻想郷ならではの現象と言えなくもないと思われる。