□月 ●日  No2226 こいつらアホだろ


月面人と言えば進化を否定して、自分たちの姿を維持することに血道を開ける連中である。
はっきり言って生命の理もへったくれもない連中だが、奴らには奴らなりの事情があることが
最近になってわかってきた。


長い期間を生きる月面人にとって変なネックがあるらしい。
なんとあまりに長く生きるために体の中の微生物が変化を始めてしまうという。
数万年単位で生きていれば、中にいる腸内細菌も何かしら変化を起こすらしい。
凄くややこしいのだが生物の進化というのは単純にその生物一個体だけでの進化では概ね済まない。
中にいる生物がセットでいることで我々は様々なものを摂食できるという実情がある。
腸内細菌の類から病気の原因となるような病原菌に至るまで
人間の体には色々な細菌がいて生態系を作っているのだ。


月面人が不当に寿命を延ばす行為はこうした生態系を色々と壊す可能性がある。
薬で無理やり延命しているのだから当然微生物たちにも手が加えられる。
むりやり変えるから当然無理もでる。
だから変化しないのが望ましいって話になるのである。
難儀な話だ。


まだ妖怪たちのように生物種というより論理的な存在になったほうが割とましかもしれない。
しかし論理的な存在の場合は容易に変質もするし、消滅もするので完全に論理化する妖怪は
まれのまれで憑代がセットになるのもそのためである。


結局どんな形であれ同じ姿で何年も生き続けるなんてことは烏滸がましいと思うのだがどうだろうか。