□月 ●日  No2438 放蕩妖怪を考える


古明地こいしという個体がおりまして、とても厄介な妖怪であります。
敢えて個体と書いたのは、我々の中で鵺よりも正体がわかりにくい存在であること。
観測行為段階で小脳にフックが掛かってしまうことが知られているからです。


従いまして彼女を捕捉するのはかなり難しいですが、八雲商事製レーダーには
とてもよく反応するので、そこでわかると言った具合です。
彼女には心がないといいますか、いわゆるエネルギーそのものと考えた方がいいです。
何かがあればそれに染まるって点で、かつて危険な超能力の事例を教えてくれた
某漫画を思い出させてもくれます。


彼女が何も考えていないかというとそうではないと思います。
論理的思考能力もそれなりにありますがその場その場を凌ぐことだけを考えているという感じです。
傍から見ればそれは何も考えていないようにも見えますが、反応関連を
見ると実に合理的だと言うのがうちの研究員の意見です。


彼女の行動原理はいうなれば子供です。
色々なものに興味を示してちょっと目を放せばあちらこちらに
ふらふらしてしまうのです。
大人ならその行動が何を生むか考えてそこで行動をやめるという感じですが
彼女にはそれがありません。ちょうどお店の階上を目指す子供と言えば
彼女の行動原理は解りやすいと思います。実際彼女の対応担当は育児をやってきた
専業主婦や主夫が担当しております。彼らにとって彼女の行為は十分理解できる
行為なんだそうです。


子供と仲がいいといいますが、彼女は子供そのものです。
それは子供のふりをした老獪ではありません。
その辺ご理解の上で接していただけるともう少し彼女も楽ができるのではないでしょうか。