□月 ●日  No2439 退治は 治めると書く


八雲商事に在籍していますと幻想郷も顕界もあまり変わらないということが解ってきます。
幻想郷に行くと言うのは私たちにとって海外赴任に近い雰囲気です。
当然、妖怪も住んでいますし退治する人もいるという感じです。


ここで顕界の退治について簡単に書いておきましょう。
顕界において妖怪を退治する理由は一つ、ラボ送りを回避するためです。
これをやられると妖怪たちは確実に実態を失います。幻想部分の大半を
解析させられて元の物体に戻されてしまうのです。
これを防ぐためにどうするのかというと、退治という方法で
妖怪たちの本性はそのままで鎮めるだけという方法が必要となります。


妖怪と言えど生物と同じで自己保存欲求ってのはあります。
そうなりますと、自己保存を妨げる行為っていうのは当然忌避される
べき事態と言います。そもそも政府霊能局とは妖怪たちを退けるだけではなく
彼らを納得させつつ退けるというのが目的です。


もし仮に彼らを完全に解体すれば、妖怪たちは一致団結して人間に襲い掛かるでしょう。
みんな死にたくないからです。
そこのところをギリギリのラインで妥協するって仕組みが退治であると
言われています。退けて治める すなわち退治とはそういうことであり
斃すとは違うのです。


この理論に基づくとスペルカードというのがなぜあのような形態になるのか
無駄が多いのも退治という形で、相手を納得させると言う目的があると
言うことが出来るでしょう。つまり自分の存在を保証する代わりに
問題を解決するバーター取引みたいなものです。


妖怪退治は妖怪を守るための仕組みというわけであるというわけですね。