□月 ●日  No2124 社会の縮図


幻想郷の仕事をしていて思うこと。それは幻想郷住民も生活が掛かっているということである。
幻想郷とは理想郷ではない。複数の妖怪を受け入れるうちに利害関係も発生するし、特定の妖怪を
受け入れた瞬間に対応する妖怪の問題が起こる場合がある。


こうした問題については常に調整の必要がある。調整を正しく行うことは難しいことだ。
特定の妖怪に対して依怙贔屓になるのではないかという意見にいつも警戒している。
と色々すごいことを言っているが結構惰性でどうにかやっているというのが実情だ。


物事変わるというのは変わらないといけない必要に迫られないといけない。
迫られない時にどうにかできれば必要なエネルギーは最小限で済むかもしれないが
現在のシステムをいたずらに破壊したところで混乱は避けられるわけもなく、結果的に
全体的な不利益になる場合が多い。


幻想郷のルールとは、おおむねそういったものである。
まず生活があって、生活できなくなればシステムは飛ぶから、それに合わせてまるでパッチワークのように
仕組みを作っていく。もちろん不都合も不合理性もあるが大体は運用でどうにかする。
まるで顕界の仕組みのようだが、政治とはえてしてそんなものだ。


幻想郷はマイノリティにやさしいといわれる。
もともと幻想郷は顕界からつまはじきにされたマイノリティの世界だからだといわれるが
実情はそんなことはない。 マイノリティはマイノリティでクラスタを作って、結局状況は
それほど変わっていない。 妖怪の中には顕界に戻ってそれなりに生活をしているなんて者も
いるくらいだ。人間のシステムにフリーライドする技術を身に着けた妖怪たちは結構顕界でも
生きていけるものだ。 重要なことは人間の姿になれることであるらしい。


幻想の世界といえど、世の中の理不尽をどうにかできるほどは甘くない。
一応力で解決する手段があるが、それもまた弱い妖怪たちをつまはじきにすることに他ならないわけで
どうにもこうにも、世の中は幻想の世界をもってしてもままならないものだと思う。