□月 ●日  No2484 養蚕にまつわるお話


幻想郷で比較的入手が容易と言われるのが絹である。地域特性のなせる業か
合成繊維よりも入手しやすいのもある。


幻想郷では博麗大結界分離初期において、妖怪から人間への所得移転に
大きく寄与したことで知られる。
当時、妖怪たちは博麗大結界分離を見込んで貯蓄を行っていた。
博麗大結界分離はさらに数百年前から構想としては上がっていたため
いつでも分離してもいいように蓄財を行う妖怪たちが後を絶たなかったからだ。


ここで問題となったのが人間の姿になってどういう衣服を着るのかという
ことである。人間の姿になってしまうと妖怪たちは自分がどういう姿を
しているのか捕捉できなくなる。ちょうど我々が動物の顔の個性を
把握しきれないのと同じだ。勢い、妖怪たちは衣服で自分の個性を
だそうと試みる。


そんなわけで幻想郷では繊維工業が割と早い段階から盛んになったというわけだ。
さて、ここで問題が発生する。
養蚕をするにあたって、家畜されたカイコガを幻想郷に送るか
それとも原種を送るかで議論になった。結局はカイコガが幻想郷に
行くことになり、幻想入りとは何だったのかと議論になったことがある。


このころから幻想郷の幻想入りルールとは結構柔軟な運用を
しないといけないという情けない結果が生まれたと言えるだろう。
もっとも合成繊維がある現代においては、結果オーライと
言わざるを得ないわけだが、それはそれということで。