□月 ●日  No2586 幻想世界が何故塩不足になるのか


幻想郷が何故内陸部に作られたのかこれは大きな謎である。海沿いではアクセスが容易すぎるというのも
理由の一つであろうが、もう一つ重要な理由が存在していることを見逃してはいけない。


ある妖怪の賢者は「これは妖怪が人間の姿になることと関係がある」と言っている。
実は妖怪が人間の姿になることに際していくつかの問題点が浮上した。妖怪が人間の姿になると
寿命が減ってしまうという問題だ。これは人間の姿になったがゆえに発生する不具合が原因である。
特に最大のネックが脳の問題である。所謂「卒中」と呼ばれる現象だ。妖怪が人間の姿になった時
卒中で倒れる者が激増したというのである。


卒中が厄介なのは術の維持が不可能になるだけでなく、一度罹患したら治療困難であるということにある。
しかも生還しても運動能力が低下することが多い。
これは人類になったことで、最もエネルギーを要求する運動野がダメージを受けるからだ。
人類は道具を作る過程で極めて器用な生き物になっていたのである。これは食料を採集する妖怪たちにも
魅力的に映った。しかし、それが卒中の原因でもある。運動野に送られる血流を司る血管は昔ながらの
弱い血管で構成されていたからだ。
従って、仙人たちは一度人間をやめて体を再組成することで血管のダメージを一度リセットするという
手段をとっている。


話を最初に戻す。何故幻想郷が内陸部に生まれるのか?これは卒中の予防のためという視点があったというのだ。
長期間妖怪が生きるためには卒中の原因を取り除く必要があるのである。
では卒中の原因はなにか? それが塩だ。生物は血流のナトリウムが過剰になるとそれを心拍数を増加させ
細胞から水を供給することで薄めようとするのである。
つまりナトリウムが体に大量流入するのを防ぐ必要があるということなのだ。


そこで、幻想郷は海から隔離することでナトリウムの供給源を一度止めて、ある程度制限するという
なんとも強引な方法に出た。だが、結果的に妖怪たちが卒中で苦しむ率は極端に減ったというのだから
なかなか侮れない。
と、いうことで幻想郷に言ったら高血圧が治ったという話もある。


幻想郷が海から隔離されたのもそれなりの理由ってものがあるのである。