妖怪相手において気をつけないといけないことは姿を変えられることだ。
しかし姿を変えてしばらくの場合はその外見情報が固着するまでに
時間がかかることが知られている。
この元妻は案の定顔を変えていた。
しかし、姿を変えると言っても衣服までも変えることは困難である。
元旦那が所持していた衣服の大きさから、彼女の体型を推測していけば
ある程度の絞り込みが可能だ。
同業には整形と言っている。整形と化粧で姿は変わるものだと。
我々の間では「塗装」と言っている。
彼女の雇った弁護士から事情を聴取するべきかと同業から聞かれるが
それはまずいと釘を刺しておく。
相手が完全に姿を変えるには多くの魔力が必要なので、そこに当たりをつけることにした。
一度本人が確認できれば方法は簡単だ。
次に彼女がやるのは電話の再契約なのだが、新しい戸籍を得るまでのタイミングは
どうしてもラグがある。そこを突くだけで容易に彼女の機種変がわかるのだ。
その辺は蛇の道は蛇というものだ。
電話会社にその辺のことを問い合わせると、やはり身元調査に難儀しているという。
電話会社も妖怪変化が携帯電話を契約することがあるくらいは把握している。
そして彼女たちが機種を変える時がどんな時なのかもわかっている。
彼女がいわゆる戸籍洗浄を図ろうとしているのが見て取れた。
これをやられると電話会社も迷惑なのである。