□月 ●日  No3009 聖夜に際し


 我々が聖夜と呼ぶこの日は私にとって書き入れ時でもある。
 妖怪と人間が特にトラブルを起こす日でもあるのだ。つまり妖怪にとっては
 捕食の日でもあるということだ。性夜は伊達ではない。


 しかし人間もさるものだ。下手をすれば妖怪のほうが嵌められていることがある。
 今回もそういう話だが、ここに浮気調査がセットになって酷いことになっている。


 妖怪に言わせれば恋人の命は奪いたくないから、別の人間で対応したいという
 本音がある。ところが人間から見たら浮気になるのだ。
 この場合、通常の浮気とは違うようですとわざわざコメントするのだが
 もちろん相手は聞き入れる可能性は低い。


 浮気の常套句である「あなただけを愛している」はこと妖怪相手の場合
 意味が大きく変わる。いや、この発言をしている異性はほぼ確実に妖怪と言っていいかも
 しれないだろう。それは紛れもない本心なのだ。


 この問題の対応方法はないと思っている。正解が全く存在しない。
 すべてをカミングアウトしたところでダメなときはダメなのだから
 仕方がない話だ。


 そして、浮気をした相手もまた、破滅させられる運命にある。
 本来は捕食する相手なのだから。 なんとも悲しい話である。