□月 ●日  No3030 債権


 相場大荒れにつき、列車でも人身事故が多発する。
 人身事故を起こしても残念ながら彼らは債務から開放されることはない。
 そこにはカラクリが存在する。


 もちろん法律上では借金の相続さえしなければお金は支払わなくても良い。
 保険金があれば、保険金で借金を返すことも不可能ではないのだが
 そこはうまく出来ている。大体は保険に手を付けられることはない。
 大体隠れ借金がある可能性を示唆されて、保険には手を付けないことが多いのだ。


 さて、死んだ人間のほうが実ははるかに大変だ。
 彼らは死んでもなお追い詰められる。死んだ人間の債権を買い取る天狗がいたら
 要注意だ。こいつらは死んだ奴の債権を買い取って死人を地下行きにするのだ。


 天狗の話によると地獄はほとんど地下で働いている労働者と、やっぱり地下で働いている
 頭脳労働の鬼で構成されているという。どこまで本当かはわからないのだが
 死後の世界はほぼ確実に存在していることは、私の前職でも言われていたことだ。
 中には死後の世界から何度も帰還する者も居るという。
 生命の理も関係のない化け物のような人間も居るということだ。


 でも本当に恐ろしいのは死んでもなお借金を返す人間の業なのかもしれない。