□月 ●日  No3031 狐憑き


 狐憑きと呼ばれる言葉がある。
 たとえば配偶者が浮気などをした場合などで一応は疑って掛かることだ。
 あまりに無茶な発言などが飛び出す場合に狐憑きを疑う。


 普通なら心療内科ゆき、檻のついた病院ゆきの案件であるが
 実際にはそうでないこともたびたびある。
 そこで登場するのが狐憑き対応の器具。


 昔は殴って狐を追い出すなんてことがまかり通っていたが、現代ではそんなことは
 不要であり、まず診断機で調査してから専用の器具で対応するのが筋だ。
 というより殴って対応してしまうとこちらが傷害罪に問われることになる。


 器具については企業秘密だが少なくても叩くことはない。
 論理的攻撃と言われる手法で標的を確実に潰すのだ。
 さて、実は狐憑き状態において一番難度が高いのがアフターフォローである。


 多くの場合は昏睡状態になる。対応を誤るとそのままダメってこともある。
 悪質なケースでは元の人格を破壊してから脱出することもあるが
 この場合はこの場合でリセットされる関係で結構うまくいくことが多いのだと言われている。
 指先などを温めておくと復帰が早いので、足湯などを駆使して覚醒を促すのがいい。


 人格が戻ると、当時の人格に戻るので、これはこれで混乱が起こる。
 本人はタイムスリップ状態になり、ヘタすると家族関係すら覚えていないこともある。
 とても難儀な案件だがこの頃には私の業務も離れている。