□月 ●日  No3040 開始


 先日雷子を襲ってきた魂魄から菓子折りが届いた。前の職場の誰かが手を回してくれたのだろうが
 あっさりと手を引いてくれたのは有難い。ただし時間限定とも言える文言が書いてあったので
 やはり時間を気にしないといけないのは間違いない。

 
 とりあえず雷子の着替えを禁止するように話した。これ以上彼女に力を使わせるのは危険である。
 彼女がここまできちんと姿を確保できるということは奏者は相当の力を持っているに違いないが
 それでもいずれ力は枯渇するのは世の常だ。また無理な出力向上は次の日またはさらに次の日に
 影響が出ることが知られている。


 早速だが、もらったクラウドストレージの内容を精査する。
 ここで判明したのは彼女の奏者は本当にこの世にいるのか怪しいことである。
 つまり、彼女の奏者を調べた形跡があるということだ。この動きは魂魄の動きとも一致する。
 つまり奏者を叩かず、付喪神を攻撃する理由はすなわち奏者がいないということだ。
 もしかすると、楽器に何かしらの術が施されている可能性もあるという。


 もしかすると、手に負えない案件にも見えるのだが、こちらは奏者を探す動きをしたい。
 その前に、彼女の本体が何なのかを聞いた上で楽器メーカーに問い合わせた。
 想像以上に古くなくて頭がいたい。どこから手を付けるか。
 古物商とオークションを検索した限り該当なし。