このファイルによれば、雷子という娘はかなり危険な存在であることは間違いようだ。
彼女は「付喪神」と呼ばれる物に宿る妖怪変化の一人である。
通常道具を介して人々の情念を吸収し、数百年かけて人の形を紡ぎだす。
現代ではそうした物の使い方は極力避けるように開発されている。
そうしないと、色々と問題が発生するからだとしている。
その問題の一つがこの雷子という存在だ。
早いうちに気づくべきだった。彼女の姿が極めてはっきりしていることに
そもそも付喪神は自分の姿を維持するだけで結構な負荷がかかるはずなのだ。
しかし彼女はというと殆ど人間と同様に振る舞うことが可能だった。
掃除こそ素手を使わなかったのも、実際に物をつかむなどの動作を自分の表示領域に
合わせて挙動させるときの負荷がとても重いものだからだ。
つまり、現状彼女を維持するためにエネルギーを供給している者がいるという
ことで間違いない。そしてそれは即ち供給している者が最悪死を迎えることを意味している。
魂魄は彼女を抹殺することで問題を解決しようとしたが、雷子はあくまで
持ち主を探すように仕向けている。理由は2つ考えられる。新しい持ち主を探すため
そしてもう一つ、こっちのほうが多いのだが持ち主を救うため。
いずれにせよ彼女の仕事を再優先にしなければ死人が出る。
これは忙しくなってきたぞ。