□月 ●日  No3079 道路標識


 付喪神は食費がかからないと思っていたが実際は違うようだ。
 雷子も御多分にもれず、普通にお昼に行くし、普通にディナーに
 勤しんでいる。昔は人間を食っていたと言っても驚かないと言われて
 こいつもバケモノなのだと今更ながらに思い出す。


 実際問題として彼女を雇うのは一人を雇うのと
 殆ど変わらない費用がかかる。結局税金や
 年金もしはらないといけないのだ。
 これをやって初めて彼女も市民権を得られるので仕方ない。


 そしてとうとう彼女が自動車の運転免許を取ると言い出した。
 飛行できるからいいだろうと思ったが、彼女が運転できた時の
 メリットを考えるとダメとは言えず流された。


 一発で通ってくれと頼んだが彼女にとって鬼門は
 実地よりも学科だった。彼女の社会通念は
 幼稚園生並だったのだ。赤は止まれ黄色は急いで渡れ、青は渡れしか知らない。


 かくして今道路標識を覚えこませているのだが
 付喪神でも物覚えは人間と変わらないというのか。