付喪神は食費がかからないと思っていたが実際は違うようだ。
雷子も御多分にもれず、普通にお昼に行くし、普通にディナーに
勤しんでいる。昔は人間を食っていたと言っても驚かないと言われて
こいつもバケモノなのだと今更ながらに思い出す。
実際問題として彼女を雇うのは一人を雇うのと
殆ど変わらない費用がかかる。結局税金や
年金もしはらないといけないのだ。
これをやって初めて彼女も市民権を得られるので仕方ない。
そしてとうとう彼女が自動車の運転免許を取ると言い出した。
飛行できるからいいだろうと思ったが、彼女が運転できた時の
メリットを考えるとダメとは言えず流された。
一発で通ってくれと頼んだが彼女にとって鬼門は
実地よりも学科だった。彼女の社会通念は
幼稚園生並だったのだ。赤は止まれ黄色は急いで渡れ、青は渡れしか知らない。
かくして今道路標識を覚えこませているのだが
付喪神でも物覚えは人間と変わらないというのか。