□月 ●日  No4012


アサマイサミ


 ハクレイノミコと呼ばれる調停者が欠けることがないよう、彼女の候補もまた
 複数人存在している。候補を多く用意するのは、彼女たちの平均寿命の短さによる。
 理由の一つは、そもそも子供から成長する確率の低さ
 もう一つは損耗率の高さによるものだ。それだけ彼女たちは自分の体に負荷をかけてきた。
 この傾向が薄れたのはこの50年である。 
 食糧事情の安定で、彼女は安定した体力を得ることが可能になり事故率は低下した。


 最大の変更点は集合知が利用しやすくなったことである。
 観測装置の進歩やノウハウの構築速度の向上。
 電子機器のアシストなどにより、ハクレイノミコの候補たちは高性能な
 武装を先行利用できるようになった。
 かつてはこうしたベータリリースのシステムは事故率が高く
 候補たちのうちの生き残りが巫女になることが多かったといわれる。

 
 現代では、最新技術を彼女たちが先行で使い、安定システムを巫女が使用する。
 これによりハクレイノミコはかつて難しかった白兵戦が可能になったといえる。
 アサマイサミはベータテスターの中では第3世代と呼ばれ、非常に高度な術が使用できるが
 最大の特徴は酩酊状態でもシステムが安定することである。これが彼女の肝臓によるものか
 それとも別の要因によるものかは現在調査中である。


 彼女の運用はハクレイノミコそのものであり、一部術式では論理層最大クラスの
 破壊力を持つことができる。弱点は効果範囲の狭さだが現代においては効果範囲の狭さが
 一般の建物へのダメージを減らす意味でとても有利に働いている。
 都市部特化の巫女と呼んでもいいだろう。