□月 ●日  No4313 兎の憂鬱


 八雲商事の矯正治療システム
 矯正とは名ばかりの人権配慮を完全無視したシステム。
 私はこのシステムが嫌いで、何度か理香子にマルハチに誘われても、
 うんと答えることはできない。


 矯正治療とは何か。たとえば先天的な病気、例えば心臓疾患や?型糖尿病が
 矯正治療の対象になる。最初は喜ばれるが、その後についてのケアはきちんとしているとは
 言い難い。


 彼らの根本的な勘違いがこの治療を矯正とつけている
 私に言わせればそれは矯正ではない 強制だ。
 本当に正しいのかは本人による。


 例えば自分の持っているハンデを自分の努力で乗り越えた人が
 この治療を受けてしまい健常者になったとする。
 果たしてそれは幸せになるのか。

 
 ある耳が聞こえない音楽家を矯正治療した結果は
 音楽が雑音になり、結局ゴーストライター頼りになるという
 未来だった。こんな有様なら最初から治療なんかする必要ない。


 もっと闇が深い案件となると、LGBTで、自分の姿を自分が望む性別に変化させたのに
 それが元に戻るというものだ。こうなると最悪で、結局裁判になったはずだが
 結局どうなったのか私は知らない。


 結局矯正といっても、その基準はかなりあいまいといえる。
 今ではあそこも元健常者が後天的に障碍者になったひとを
 矯正治療しているらしい。 これならやらないほうがマシなんだろうけど
 今のあそこの回復手法では、そうした選別がまともにできないのだ。
 最初からやらないほうがいいと思う。