□月 ●日  No4364 圧倒的精神防御


 八雲商事に勤務する社員には基本的にある訓練が施される。
 それは現象しか見ない訓練である。
 だいたい、深淵とか見たところで理解できるわけがない。
 それに、顕界であっても例えば自動車が具体的にどのように
 制御されてどのように動いて動作しているかなんて理解している人なんか
 そうそういない。だけど利用はできるわけである。

 
 そうなると大概のことは動じなくなる。
 たとえば変な空間に飛ばされて謎の映像を見せられても
 それが映画のワンシーン程度にしか見られない。
 第一、ここ最近のアミューズメント施設はかなりリアルだ。
 ではその施設はどうやってその体験を生み出しているのか
 って考えると、大体はこうなる。
 すなわち思考停止である。


 つまるところこの精神攻撃の類をほぼ確実に
 止める方法は思考停止と現状を受け入れることである。
 そうなると蛇頭だろうが、リザードマンだろうが、
 その程度が出てきても多少のことでは動じない。
 あーこの前の映画で見たー程度になる。
 ぜったいこの美術監督はこいつにあったなとか
 そういう風に考えるようになるのである。


 まあ精神攻撃を仕掛けてくる妖怪に対しては
 また別の対策が必要になるわけだがそれはそれということで。