★月 ○日 No 108 妖怪の戦争利用


冴月や魂魄たちの戦闘能力を見て、妖怪は戦争に応用できるのかと真剣に考えていたら、朝倉に一笑に付されてしまった。
単純な理由である。 ひとつは戦闘能力の高い妖怪は知能が高く、大体の場合人間社会も俯瞰視点で見ていること。
特定の人物または組織に肩入れしても長期的に関係を維持できないことを知っているからである。
確かに、大抵人間によって簡単に召還できるのは橙レベルなものでろくな知能も持ってない。


もう一つの理由もこれまた単純な理由である。 兵器として使用するには信頼性が低すぎるからだ。
これは私も意外に感じたが、メンタリティで戦闘能力が変わってしまう妖怪たちはこと近代戦闘では無力になってしまうことが
多いらしい。 実は圧倒的な戦闘能力を持っているのに月の軍隊に敗北してしまったのはその部分にあるようだ。
冴月は妖怪の中でもメンタリティに関する訓練を受けている数少ないテストケースであるが、
霊位が高いからこそできることであって妖精クラスの能力ではまず無理であろうということだ。


現代では幻想の生き物であるはずの妖怪と人間が実は人間の理屈で説明できることが証明されつつある。
Feel visible matter. Feel invisible matter. There is life everywhere.
訳せは 色即是空 空即是色 いたるところに神は存在するという朝倉の好きな言葉があるが
我々は今鏡のような表裏一体の概念を体系的に理解しつつあるのである。