■月 ○日 No 121 冴月の帰還2 同僚が人事不省


私が紅魔館に出入禁止になっていた間、担当していた同僚が人事不省になっていたので
お見舞いに行く。 彼は意識を取り戻したが未だに後遺症が残るほどの重態であったらしい。
私が五体満足で連中とわたりあっているのは不思議だと言われたが、
私に言わせれば、篭絡されて引っかかっただけとしか言えない。 
もっとも何も知らない人間からすればあそこは美女の館と言っても過言ではない。 
ヴァンパイアの主人が駄目でもあそこにいるメイドたちに誘惑されれば大抵の男はノックアウトするだろう。
だがあそこはまさに地雷原のような危険地帯である。 言葉も相当選ぶし、もし先方の機嫌を損ねれば
確実に死が待っている。 よってまだ生きているだけマシともいえるかもしれない。
もしかすると、我々に気を使って殺さなかったともいえる。


もっとも最近は人工臓器が発達しており、近い将来彼は現役復帰できることだろう。
もはや幻想郷に行くことはできないだろうが、彼にとってはそれが幸せなのかもしれない。


冴月だが数日間紅魔館に滞在することが決まった。 ノーレッジ氏の要請らしく
彼女がいるとまるで親がいる子供のように甘えているらしい。
この事態には、かのメイド長ですら驚きを隠せないようだ。 
冴月の計らいなのか、それともカリスマ失墜を恐れたヴァンパイアの希望なのか
現在紅魔館には強力な結界が張られている。 結界に近づくと紅魔館に行く気がなくなるという
とんでもない代物である。
私は冴月の能力は弾幕だけではなく思考も誘導されてしまうのではないかと考えている。