◇月 □日  No147 河童と岡崎


河童は我々と直接取引をする数少ない存在である。
総じて手先が器用で、精密機械のように動く手は下手な産業用ロボットを軽く凌駕する実力を持つ。
だがもっと重要なことは、技術を理解するだけの知性とその基盤となる基礎技術があることだろう。
彼らは我々の技術を複製して幻想郷で利用できるようにアレンジを加えてくれる。
もちろん、電波時計のように我々が作り出したインフラを利用した道具もかなりある。
とはいえ、河童こそ外界とやり合える数少ない技術者集団なのだ。


最近岡崎が河童のいるところへよく出張へ行くようになった。
彼女に言わせると教え甲斐がある人たちらしい。
岡崎が派遣されるに当たり河童の一人にとりあえず忠告した。 岡崎のデザインセンスは最悪であることを。
河童は岡崎のデザインも構造上意味があると思ってそれを忠実に再現するため、どえらいデザインのものができてしまう。
これまでは北白河がバランスをとっていたのだが、タガが外れた岡崎のデザインは
幻想郷では異彩どころの騒ぎではない。


そしてとうとうメイド型火星将軍ロボの図面を見るにいたり、急いで北白河を呼び寄せることにした。
そのデザインはブリキのロボット未満の代物である。 第一メイドロボにドリルが何故必要なのか理解できない。
このままでは、ナイフやら鎌やらで死者がでかねない。 
ボスは頭を抱えながら「承諾」の判子を押してくれた。