そろそろ花見シーズンである。
今年もあちこちで宴会が開かれているわけだが、
当然うちの面子も新人を呼んで花見会としゃれ込むわけである。
朝倉とか北白河あたりの醜態を毎度取り上げても仕方がないので
今回はこの花見会に隠された意義を書いてみる。
実はうちの会社の歓迎会は二回行われる。
顕界で行われる普通の歓迎会と、幻想郷で行われるお花見の二つである。
八雲商事にいる妖怪達や現地法人の人々のことを考えるとどうしても二回やらないと駄目だったりする。
だが、二度やることにはもっと別の理由があるというのが里香女史のお話である。
花見と言えば顕界でも幻想郷でも出店があちこちで開かれる。
幻想郷でも金魚すくいはあるし、綿飴もあるのだが、これこそ当社の仕事の成果であり
八雲商事が幻想郷と関わる簡単な例えに用いることができるのである。
そもそも綿飴をつくる為の綿飴機は米帝で作られたものである。
しかも幻想入りしているわけではないし、博麗大結界分離後の発明である。
正確には直後であるのだが。
出店で置いてある様々な商品はうちの会社で取り扱う品物ばかりだ。
つまり我々が居なければ、ここにある出店は全て立ちゆかないのである。
もっとも出店の店員、そこを利用する幻想郷の住人がそれを意識することはありえないだろう。
幻想郷で自給できない物資は思いの外たくさんあるものだ。
皆が思っている以上に色々なものが幻想郷では出回っている。
幻想入りしたものが幻想郷に流れると言うがとんでもない。
その定義はとても曖昧でご都合主義極まりないものだ。
厳密に考えたら幻想郷に物資を持ち込むのは不可能だ。
機械技術は河童が用意しているものだと幻想郷住民は言うが、もちろん河童の人口と層でどうにか
できるわけがない。
特に軽工業の自給率は極端に低い。ネジなどに代表される部品とか、ビニル袋など
または加工食品だって幻想郷で全て確保はできない。
物資を運ぶと単純に言ってるが、取り扱い商品数は多様であり私自身も全てを把握しているわけではない。
物品を送れば終わりというわけにもいかない。
八雲商事の仕事はある程度使命感が無ければやっていられないものである。
それを飲み会の席で確認させ、皆の共通認識とするのが一つの目的なのである。
実際のところ使命感がなければここはブラック企業である。
三途の河はよく渡るが、死亡届がないから死んでないと言い張る会社である。