□月 ◎日  No233 ヘッドハンティング


今日は人間の里で、カラクリを扱うことができる人材のヘッドハンティングである。
当社としては現地の事情もわかりつつ機械のこともわかる人間は貴重な存在である。
かれらが将来、妖怪たちに仇なす存在になるのを防ぐ狙いもある。
里香女史が私も行くと言ってきかない一幕があったが、とりあえず岡崎に監視させている。
朝倉はよほどのことがないと幻想郷に行きたがらないから安心だ。


一緒に連れてきたのは上白沢である。 現地の人のとりなしというのが一番助かる。
本人とは普通に会うことが出来た。 上白沢がいたお陰で警戒されずに済んだ。
家の中は香霖堂とはまた違ったカオス空間である。 
どちらかというと外の世界の兵器が多い気がする。
彼はその兵器をきちんとクリーニングして使えるようにしてしまうらしい。


私が話を切り出すと、その人物は「お客様がきたので少々お待ち下さい」という。
障子の隙間から外をみると、そこには阿礼乙女とその従者がいた。
なんと阿礼乙女にその怪しげな武器を渡しているではないか。 渡しているのは
多分妖精ハンティングに使うブービートラップというところか。
本当にこいつを雇っていいのか、思わず広げた書類を片付けようと思ってしまった。


上白沢は「こういう人物こそ監視がいる」という。 確かにその通りだ。
だが洒落にならないので会社に連絡するとよりによって朝倉がでてしまった。
朝倉は「なんとしても確保しろ」と言って回線を切ってしまった。
労働条件の話はとんとん拍子に進んだが、今の店を閉める必要があるので
阿礼乙女に挨拶したいと言ってきた。
「阿礼乙女もうちのお客様だから問題ない」と言うと、喜んで契約書にサインしてくれた。


とりあえず二匹の猛獣からどうやって彼を守るかである。 
これからが大変だ。