□月 □日  No646 仲良く喧嘩しな


永遠亭のニート姫とメトセラ娘といえば一応殺し合いをしている仲である。
おおむね仲良く喧嘩しなの領域なので上白沢も薬屋もあまり深刻に思っていない。
ただし巻き込まれるこちらとしては大迷惑である。


永遠亭に品物を届けに行ったらニート姫が、詐欺師兎と共謀してメトセラ娘と一緒に食べる団子に
わさびを入れていた。
毒を入れないのかと尋ねたら、「便利な毒薬は無味無臭では結局気づかれないままピンピンしているだけ」と
言われてしまった。 わさびのほうがダメージが大きいらしい。
私はてっきりニート姫の食卓に乗せるためだと思っていたので、高級なわさびを納品していた。
結果、メトセラ娘が団子を食べたらマイルドな味わいで大好評であった。 
結局みんなで焼き団子にして食べたらやたら美味かった。
姫様も当初の予定を完全に忘れていた。


このように最初は殺し合いのつもりで何かイベントを考えても結果的には割とほのぼのとして終わることが多い。
たとえば爆弾の送り合い。 阿礼乙女の家から爆弾を入手してお互いにプレゼントする。
送るのは我々の仕事である。 薬屋に渡すと「いつものアレ」で概ね通る。
あとはお互いに真っ黒になるので、石けんとメトセラ娘の家用の修理資材が発生するだけだ。
ご丁寧に頭がアフロになる魔法も仕込んでおり、そのたびに永遠亭は大爆笑の渦に巻き込まれる。


こんな日もあった。
上白沢が出題した学力テストで相手にショックを与えるんだということで猛勉強を始めたときのこと。
二人にどれだけ勉強したのかと尋ねたら、二人とも「12時間も寝ながら勉強した」と答えて
唖然とした。 そして勝負の日。 なぜか正答したところも間違えた場所も同じだった。
お互いカンニングしていたのは明白だった。 
点数は100点満点中5点だった。
薬屋がすいませんすいませんと申し訳なさそうに謝っていたのが印象深い。


阿礼乙女の家から銃を盗んで決闘を始めたときのこと。また衣服を発注しなきゃならないなと思いながら
ぼっと観察していたら、二人とも弾が出なかった。
安全装置を外したところまでは二人とも上手くいったのだが、たまたま阿礼乙女の家に居たのだろう
明羅女史が「支給武器は空チェンバー」とだけ言って立ち去っていった。
しばし沈黙。 
二人が顔を真っ赤にして帰って行ったのは言うまでもない。


二人の関係を語るときどうしても疑問が残る
どうしてうちの会社はメトセラ娘と博麗の巫女のコンタクトに対して静観したかということだ。
ボスに言わせれば、メトセラ娘の精神状態が安定していたことと、自分の考え方に整理がついたからだと話していた。
ちなみにニート姫が博麗の巫女をけしかけた理由を尋ねたら
これは推測らしいのだが、「新しい玩具を手に入れたらすぐに自慢したいのが人情」と言われた。
なんとなく二人のメンタリティについて理解できた気がする一日である。