■月 ○日  No412 幻想の世界を護る要素


ボスに幻想の世界を守る上で重要なものは何ですかと聞いたら
「カネ」と言われてがっくりきた。
幻想郷に物資を送ったり、人々の生活を維持したりするにもまずカネがいる。
幻想郷の住人を支えているのもまずカネである。
月の脅威に対抗するためにも身を守るために武装するためだってカネがいる。
そして攻撃もカネを目標に行われる。 そんな戦いに身を投じるのにだって
カネがいる。


地獄の沙汰も金次第とはよくいったものだ。
身も蓋もない見解だが、さすがに面と向かって言われると結構くるものがある。


そういえば姫ちゃんこと閻魔様もカネを稼ぐことは別に悪いことではないと
言っていた。関係があるのかと聞いたところ
カネそのものは問題はないのだが、「欲」と非常に結びつきやすいゆえに
問題となるのだという。 岡崎が同じようなことを言っていたが
きっとボスからの受け売りなのだろう。


いわゆる物々交換の円滑化を目的として作られた金が
いつしかそれそのものに想念が宿り、人を狂わせることはよく知られた話だ。
そして変質した「カネ」を目の当たりにした人々は嫌悪感をもつため
どうしてもお金を持つ人を妬んだりするのである。


ボスに言わせれば悪い方向へと変質する原因は大体の場合、そのお金が
自分の力だけで手に入れた物と錯覚することから始まるという。
自分が集めたお金は、身を粉にしてはたらいて貯蓄したカネかもしれないし
へそくりを貯めたお金かも知れないと考えるべきなのだ。
幻想郷を支えるお金はそうした謂われを持つ存在だということができよう。


つまり、幻想の世界を維持するために必要とされるカネは、
想念によって変質したある種幻想の存在ということができるのだ。
幻想郷を支えているものは結果として「幻想そのもの」であるということを端的に
示した好例だと思う。


「自分たちだけが幻想郷を支えている」と考えてはいけない。
人々の想いが寄り集まって幻想郷を支えていることを忘れないことが大切なのである。