■月 ○日  No422 秘密会談


魔界にいる八百万のカミ様を送迎する。
面子は私と朝倉、冴月である。私は事実上の戦力外だが顔合わせが必要との
判断からの同行となった。


魔界にいるカミと言われるととても怖いイメージがあるが、
あの閻魔様でさえ女の子だったりする場合もあるからそれほど不安は感じていない。
実際に会った魔界のカミ様は今まで見たことのあるような可愛らしいという雰囲気ではなく
とても大人びた感じのする女性であった。 ファッションセンスは隙間妖怪に
爪の垢を煎じて飲ませたいほどまともである。


今回、魔界のカミ様が会う相手はやはりカミ様らしい。 
ボスが直々に協力を要請しただけあって相当の大物らしい。
朝倉が普段は着ていない魔法使いの服を白衣の下に着込んでいることを
冴月から聞いた。 彼女のポリシーをも曲げる事態が起こっているのだろう。
私はただの足にしかならない。


会談の席に到着するとそこにはボスと、あの神社にいたおねえさん、
そして天狗たちの軍団がいた。 そして初めて見る珍妙な格好の女の子である。
本当に珍妙としか言いようがない。 帽子にコスプレ衣装を思わせる目玉が
飛び出しているのだ。 それ自体が八卦炉というオチも予想できなくもないが。


朝倉が数枚のスペルカードを同時展開してみせる。 複数のスペルカードを同時実行すると
人間はもとより妖怪もあっという間に気を失ってしまうのだが、
朝倉はそれを容易く展開して これでもかとばかりに結界を張った。
私にできることと言えば待ちぼうけである。 朝倉が肩で息をしているのを初めて見た。
やはり相当の負担なのだろう。列車まで担ぎ上げてベッドで寝かせる。


鴉天狗が人をカメラで撮影しながら「夜ばいはいけません」と言っている。
朝倉を指さして「夜ばいするのはこいつだろ」と反論したら
「彼女はそういうタイプじゃない」と言われてしまった。 どういうことだろう。