■月 ○日  No438 武装列車の新兵器


お酒を専門に運ぶ列車がある。 幻想郷の妖怪たちはお酒が大好きで
古今東西のお酒を取り寄せては浴びるように飲む。
この列車はそんなお酒を外の世界から取り寄せる代物である。
普通の貨物列車と違い保冷庫を持ち、ワインなどを常時保存することができる。
お酒を運ぶ列車が必要な理由は特殊車両のためだけではない。
お酒目当ての妖怪たちにしばしば襲われるためだ。
こういうときに頼りになるのが武装列車だ。


そんな武装列車に先日ヴィヴィットの量産型である「ルーコト」が多数配備された。
経費の無駄遣いのような気もするのだがテストケースらしい。
普段は武装列車がよろしくやってくれるので中でお茶を飲んでいればいいのだが
今回はルーコトの挙動を観察することにする。


今日も妖怪やら、たぶんヴァンパイアの主人に無理矢理頼まれたようなメイド長などが
群がってくる。 そこに現われたのはたくさんのルーコト。 
襲ってきた妖怪も案の定硬直している。
かくてルーコトの攻撃が始まった。 弾幕ではないある意味最悪の攻撃を見た。


「実年齢はいくつですか?」
「胸の大きさはフェイクじゃないのですか?」
「年齢相応の服装を選んでください」
「頭の悪さは仕様ですか?」


妖怪は自分の謂われを突いた攻撃に弱い。 ルーコトの毒舌攻撃によりたちまち
妖怪たちが墜落していくのを目撃する。メイド長も攻撃を受けていないのに
肩で息をしていた。 すごいぞルーコト。
戦果はかなりのもので、とうとう妖怪たちを全滅させてしまった。



結局納品時にメイド長にみぞおちを喰らって悶絶することになったわけだが
あまりにえげつないやり方に部内でも反対意見が出てルーコトの武装列車導入は
お流れと相成った。 納品時に八つ当たりでも食らったらたまらないのは
現場一同共通の考えだったようだ。