■月 ○日  No439 永遠亭で試飲会


永遠亭にお酒のサンプルを大量持参して試飲会が行われた。
この試飲会はあくまで永遠亭だけのもので、幻想郷の住民には
内密にということになっている。


薬屋が持ってきたお酒を分析機にかけようとしたら、詐欺師兎が瓶を
かすめ取って飲んでしまった。 こちらとしては他意のない新製品だから
別にいいのだが、薬屋は無言で弓矢を持ち出して詐欺師兎に矢を放ってくる。
流れ弾が怖くて体が全く動かなかった。



事のあらましはこうだ。 酒造メーカーが妖怪たちの口に合う酒を造りたいと申し出た。
このところ特に日本酒についての消費が頭打ちになっており、どこの酒造メーカーも
新製品開発に大あわてである。 最近では様々な色のお酒や、
別のお酒のハイブリッドタイプなんかも作っているらしい。
そこでうちのボスが来るべき月人たちの流入に備えて
彼らの口に合うお酒を開発するようにと働きかけたのである。


ここで難しいのは、月人たちのお酒ではあまり強い味は好まれないということだ。
引力による補正で、味の感じ方がかなり違うからである。
そこで地上の酒の味と月のお酒の味が分かる人に協力を申し出た。
ブレザー兎はちょっと警戒気味であったが、ニート姫様があっさりとOKしてくれた。
彼女にとっては退屈しのぎの余興なのだろう。


詐欺師兎に何も起こらないことを見届けたのかとりあえず試飲会再開、
兎たちも群がってきてえらいことになってきた。
とりあえず月兎じゃないのだけど兎たちの意見も取り入れるということで
アンケートに色々書いてもらった。 概ね好評だったがまだ味が濃いらしい。


上空で鴉天狗が試飲会の模様をよだれをたらしながら撮影していたので
彼女にも飲ませることにしたが、鴉天狗の酒豪ぶりをなめていたせいか
結局お酒が足りなくなってしまい酷い目にあった。 
終わる頃にはみんなほろ酔いでどんちゃん騒ぎを演じた挙げ句、改築して間もない
永遠亭がぐちゃぐちゃになってしまった。 修理費を考えると頭が痛い
やたら高くついた試飲会であった。