△月 □日  No475 幻想郷のお金と為替経済


私たちが幻想郷で活動するために会社から支給されるものでも
特徴的な物はやはり為替であろう。 所謂トラベラーズチェックみたいなものだ。
幻想郷でこのような為替経済が発達しており、夜雀相手でも為替を使えば
美味しい焼き鳥が食べられるのである。


この背景には幻想郷が未だに貨幣経済のままであることが挙げられるだろう。
明治新政府による紙幣経済への移行は、紙幣の価値を政府が保証するから
成り立ったのであって結界によって隔離されてしまった幻想郷では
紙の姿をした紙幣はあまり受け入れられなかったのである。
ところが大金を持ち運ぶとどうしてもかなりの重量になってしまう。
空を飛ぶ妖怪たちにとってこれは死活問題であった。 飛びにくいだけならまだいい。
最悪墜落してしまう者すら現われる始末である。
そこで両替商で為替に現金を充填するという為替経済のシステムが
できあがったというわけだ。


玄爺がオフのため博麗神社の監視業務を引き継ぐ羽目になった。
何故私かと聞いたら、誰よりも覗きが上手いと言われて泣きたくなってきた。


博麗神社における重要業務がお賽銭の代わりに入れる為替の札を換金する仕事である。
驚くべき事に博麗の巫女は為替の札を平気で捨てるのだ。
どうやら彼女にとっては硬貨こそがお金で為替の札の意味なんて分かっていないようなのだ。
霧雨のご息女がこのことに気づいた場合は、彼女の懐にお金が入る。
もっとも霧雨のご息女も換金方法についての知識がないらしく、
香霖が為替を表示価格の半値くらいで引き取っているらしい。 酷い話だ。


今日も枯れ葉の中からお賽銭になるはずの為替を発見する。
普段は玄爺が巫女に分からないように回収しているらしい。 大変なことだ。
これを両替商に持って行ってお金に換えたらお賽銭箱にそっと戻すのだ。
素直に為替の換金方法を教えればよいものをと玄爺に訪ねたことがあったが
博麗の巫女はお金に関しては自由であるべきと言われてしまった。
今一納得できない。


鬼娘に見つけられ散々質問を受けたり、人形遣いのアリスが操る人形達に足蹴にされたりしつつも
本日の業務は終了 あとは亀の甲羅を脱ぐだけだ。
こっちを見るな。