△月 □日  No500 幻想郷で仕事をするために


幻想郷に物資を運ぶ仕事についての日記が500回を数えたのでここで
自分の仕事について整理したいと思う。


うちの会社組織はそもそも博麗大結界によって完全閉鎖された幻想郷を維持するための仕組みである。
私の仕事はそこに住んでいる住人とりわけ妖怪たちのために物資を運ぶことだ。
たとえばそれは食べ物だったり日用品の類や衣服だったりと様々である。
時にはトラブルに巻き込まれることもあるが自分からはどうにかしようとは
思っていない。私は博麗の巫女たちと違ってか弱い存在である。
妖精たちと衝突するだけでも命の危険にさらされるのだ。


妖怪たちはかわいい少女または美しい女性の姿をしている者が多い。
妖怪兎たちが自分たちの身の安全を確保するために可愛らしい姿をしていると
聞いたことがある。 その外見に惑わされていると酷い目に遭う。
少女の姿をしていても自分よりも遙かに年上であると思って間違いはない。
私が妖怪と話すときは常に敬語を使うようにしている。
性格も一癖もふた癖もある。 変わった客だと思って割り切ることが
ストレスをためないで済む方法だと思っている。


神さまと呼ばれる人たちと接するのは物凄く気を遣う。
彼女たちはあまりにフランクで、そのことが私をとても不安にさせる。
会社の重役が突然馴れ馴れしく接してきたら、異動を言い渡されると思うのと
同じ理屈である。


私の同僚からよくやっかみ半分で妖怪が恋愛の対象になり得るかと
聞かれることがあるが、これは本当にない。
そもそも彼女たちの美しさはまるで人形である。近寄りがたい美しさと
思っていただければよい。 これは実際に会ってみないとわからない。
人形遣いのアリスに会ったときはまるで映画の女優みたいな印象をうけたものだ。
要するに釣り合わないと感じさせてしまうのである。


私に言わせれば幻想の世界と言ってもその基本的な部分は外の世界と同じであると
思っている。 お客様に対して誠実に接すること、あとは地域ルールを
逸脱しないこと。 これさえ守れば他の人も幻想郷で仕事ができると思っている。