□月 ○日  No529 衣服を修理しよう


今日は例年より早い鏡開きでもある。霧雨店では小豆やきな粉がよく出回る。
今年は雑煮4 お汁粉3くらいの割合のようだ。
売り場ではネギ専用の特設会場も作られている。
天狗達が買い求めて中毒症状になるのを防ぐためだ。


この日今年最初の妖怪用衣服が大量納品された。
オーバーテクノロジーが絡む一部月人の衣服を除き妖怪たちの衣服は
一度妖怪の山の倉庫に集められる。
この時期に衣服が納品される理由は、新年のご馳走で服がきつくなった妖怪が増えるからだ。
そこでこの時期の衣服は全体的に少々大きめに作っている。
サイズ表示のみ誤魔化して妖怪たちのプライドを傷つけないように工夫するのだ。


香霖のところへお邪魔したら裁縫仕事を手伝わされた。
ボタンが壊れたり、破けてしまった衣服を補修するためである。
妖怪たちは弾幕ごっこで破れたと主張しているが、破けている場所がお腹のあたりや
太もものあたりなのであまりに説得力がない。
新品は注文すれば届くのだが、やはり最後まで使おうと考えるのが
我々の世界の住民との違いだろう。


ブレザー兎の衣服も修理依頼がかかっていた。
この衣服は月人の戦闘服とほぼ一緒だと朝倉から聞いた。
もともとブレザーは大英帝国の軍服だと聞いているが、もしかすると大英帝国
月の技術を模倣しようとしたのではないかとも思える。
だが、当時の考え方ではそこに関わる副次的な意味合いに気づくことなく
デザイン的な模倣で終わったのではないかと考えている。


複雑な衣服と言えばおねえさんの衣服を発見した。 こっちは純粋に
戦闘による裂傷だったが、思った以上に複雑な構造をしていてびっくりした。
よく見ると複雑な文様が書いてあるのだ。 それを壊さないように配慮しながら
縫い合わせるのはかなりつらい。 さすがはカミの服である。
結局かなりの時間、針仕事と完成した商品の検品で費やされてしまった。


引き取りにきたお客の中に自称現人神を発見
顔を真っ赤にしてそそくさと帰ってしまったのでなにもできなかった。
気持ちは分かるがお代を払わないで逃げてしまったのは勘弁して欲しい。
また清算処理が面倒になりそうだ。