□月 ○日  No536 秋姉妹のおうち


明羅女史は異性にも同性にももてることで知られている。
クールなあこがれの存在であり、ずぼらな朝倉とは天と地ほどの差だと思う。
配達業務をしていたらそんな明羅女史から妙な依頼を受けた。
普段、彼女が配達している秋姉妹の荷物を届けて欲しいというものだった。
急な用事が入ったためどうしてもそちらを優先しないといけないらしい。
下心半分で安請け合いしたが、暗くなることで知られる冬の秋姉妹の姿を
見るのは初めてである。


商品はほとんど日用品の類でちょっと足を伸ばせば自分でも買いに行けそうな代物だった。
それでも物量はあるから二人で買い出しするには量が多すぎるのだろう。
このときわたしはこの仕事を数時間あれば終わると見積もっていた。
だがこの見通しは甘かったと痛感する。


秋姉妹の住んでいるところは意外な事にヨーロッパ風の煉瓦の建物であった。
そのデザインセンスの良さにちょっとため息がでた。
しかしノックをしても人のいる気配がない。 この時期殆ど出歩かないと聞いているので
留守と言うことはありえない。
意を決して中に入ったらそこはお部屋と言うより
汚部屋だった。


幻想郷では基本的にゴミは殆どでない。ゴミとは物質的に豊かであることの象徴である。
だがこの部屋は明らかに数ヶ月は貯めたであろうゴミが散乱していた。
おそらく村人から奉納されたものだろう。
その端っこで体育座りのまま動かない二人の人影を見て、この仕事を受けたことを後悔した。


妖怪というものは、活動範囲外になると極端に行動能力が鈍る場合がある。
必要なら冬眠したりするのだが、秋姉妹の場合もご多分に漏れず最低限の行動以外は
極力動かないタイプのようだ。 だが驚くべきは臭いだろう。 さぞや臭いと思いきや
甘い芋を焼いたような良いにおいなのだ。 それはトイレに至ってもそうだった。
すでにトイレの中は半分以上詰まっているのに不快な臭いがないのだ。
これはこれで違和感がある。


一人で仕事をしたら大変なので、ルーコトを二人ほど呼んで一緒に片付けした。
その間姉妹はまるで動かない。 小声でありがとうと言うばかりである。
わたしがいる間数時間が経過しても何も食べようとしないので、携帯食をあげたが
ちっとも口にしなくて参った。 仕方がないのでお皿に盛りつけして目の前に置いておいた。
これではまるでペットに餌をやってるようなものだ。


仕事が終わって明羅女史に事の次第を話したら謝られた。
あとで埋め合わせをすると言われたので、デート希望と言ったらあっさり玉砕した。
朝倉にそのことを報告したら腹を抱えて笑っていた。 なんか納得いかない。



■突っ込みに関する回答


 ●お姉さま人妻属性薄い
 

 いつかは来ると思っていた。
 わかっているんです。この会社人妻とか妻帯者がほとんど表に出てません。
 リアリティがないですよね。
 ただ、幻想郷の仕事の場合事実上単身赴任が増えることは容易に予想されます。
 あと東方キャラで人妻だすといろいろまずいことになります。
 オリキャラを増やすのもまずいのでかなり難しいです。


 ●小話として面白いと思うんだけど今回ちょっとオリキャラ多いほう、よね?


 1月17日に出てきた人たちは黄昏酒場のメンツです。


 ●でもTOPは以前のほうが好みだったかな


 サイズ確認用に作ったもので急ごしらえです。
 誰かに頼むべきかなこれは