□月 ★日  No560 決戦前夜


パーティーに向けて食材、資材の大量搬入。
テーブルが足りなくなったので、急遽ホテル用のテーブルを取り寄せてピストン輸送するなど
面倒なことになった。 これまた大量のテーブルクロスに、スペルカードで動作する無数の暖房が
セットされている。 氷妖精たちがへばらないように事細かに温度調整するように設定された。
拡声器を香霖堂から持ち出したが電源がないため、急遽配線工事をする羽目になる。
河童たちを入れて不眠不休で会場設営する羽目になった。
彼女たちには所々に盗聴器を仕掛けるように指示してある。 薬屋たちがどこにいようとも
声を確実に捉えることができるだろう。


パーティ会場の設営の最中、我々はひとつ大切なことを忘れていた。
それはデスマシン妹君の処遇である。
上でどんちゃん騒ぎをしていれば当然、気になるのがサガというものだ。
その時、彼女をどうやって阻止するのかが大問題となる。
色々考えあぐねた挙げ句、冴月にお守りをさせることに決める。


帰社すると小兎姫に出くわす。 普段見られないような憮然とした態度にちょっと驚いた。
朝倉から耳打ちされた話によると、何でも月兎の進入を許しておきながらあまつさえそれを取り逃がし
おまけに報告がなかったことに怒っていると言う。
現在幻想郷では月からの進入が容易にできないように様々な方策が採られている。
永遠亭でも進入を阻む幾つかの方策を採っており、何故月兎が"二度までも"あっさりと進入を果たしたのか
疑問を持たれていた。誰かが幻想郷に導かない限り、それは不可能だと小兎姫は断言する。
小兎姫は「非協力的なら考えがある」と物凄い口調でまくし立てていた。


朝倉はその主張を一笑に付すると「技術革新でしょう」とだけ言った。
確かにうちの会社の列車も今では中間管理職狐の力を借りずとも無理矢理なら幻想郷入りすることは
可能である。 我々が短期間でできたことが月でもできないわけがない。


緊迫した雰囲気を和ませてくれたのは、期待の新人浅間だった。
いきなり小兎姫に向かって「合コンしよう」と持ちかけた。
この予想だにしない浅間の発言に小兎姫がたじたじになっていた。
朝倉が何故合コンをするのかと浅間に訪ねたら、霊能局は公務員だからきっと収入も安定しているに
違いないという。 北白河が無言でうんうん頷いていた。
とりあえず皆でずっこけるしかなかった。


水面下ではあるが色々なことが動き出しているように思えるそんな日だった。