□月 ★日  No581 湖さらって廃品回収


紅魔館近くにある湖。 今日は何人かの妖怪たちの協力を得て湖の底にある様々な物の引き揚げ作業である。 
なぜ引き揚げを行うのか?
ここ最近、幻想郷行きとなったものの中には有毒なものや危険なものも混ざっている。
こうしたものが有毒物質をまき散らす前に引き上げてしかるべき場所に処分するのだ。


引き揚げ作業は河童のダイビング部隊と力自慢の妖怪たちが引き受けている。
引き揚げたものは私と香霖、里香女史もちまわりで鑑定を行い選別を行う。
昔は隙間妖怪たちがこの仕事をしていた。
しかし重油タンクで服をまっ黒けにした後は我々に仕事を委託しているらしい。


上がってくるものは実にバリエーション豊かである。
綺麗なアクセサリーがあれば泥まみれの衣服、女教師なんとかとかというラベルが貼られたビデオテープ
エトセトラエトセトラ。 大半はゴミだが中には面白いものが出てくる。
仮面ヒーローのお面が出てきたときには、幻想郷の外の世界にはとんでもない化け物がいるのかと
恐れおののいていた。 思わず笑みがこぼれてしまった。


河童たちは引きあげてきたものに興味深々である。
泥まみれの発掘品を恭しく水で洗って「これ解体していい?」としつこく聞いてくる。
香霖は物の名前と用途は分かるものの、解体した時にどうなるかはわからない。
仕方ないので最終的なジャッジは私か里香女史が行っている。
電池は液漏れを起こしており、発掘品を再生することはほぼ不可能である。
問題がないことを確認して許可している。


河童たちは機械を解体すると、そこで使われている貴金属を取り外して袋に詰めていた。
この日も金の糸を見つけて河童たちはにんまりした表情になっていた。
この日出てきた湯沸かし器もきれいに分解して、銅管を袋に入れていた。
幻想郷の外で鉄くず屋さんに銅管の価格を聞いたら、結構なお金になることがわかってびっくりした。


残りのゴミは、妖怪たちが袋に詰めてそのまま妖怪の山へと運び込まれる。
そこでまた資源を拾い出して、残りは隙間に廃棄されるそうだ。


この日出てきたのは、どうでもいいものばかりでこちらは疲れるやら、嫌になるわ散々だったが
河童たちだけは大はしゃぎで終始上機嫌だった。
帰りは温泉につかって疲れを癒してそのまま直帰。
隙間妖怪がなぜ自分で湖さらいをしなくなった本当の理由が何となく理解できて嘆息した。