□月 □日  No632 幻想郷の結婚事情


幻想郷で配達していたら、結婚式があるということで嫁入り道具運びを色々手伝う。
この日結婚した夫婦は旦那が25くらいで妻が16くらい。
幻想郷ではこれくらいが結婚適齢期とされる。


19歳を超えると売れ残りのレッテルを貼られ、20歳を過ぎれば「年増」、30を超えると
「大年増」と呼ばれる。 メイド長や隙間妖怪ならびに朝倉には禁句である。
甘粕の話では、朝倉が初めて幻想郷を出たとき結婚適齢期が30歳だったことに心の底から
喜んでいたという。


閑話休題


幻想郷では恋愛と結婚が完全に区別されている。 顕界では恋愛結婚こそが基本であるように
考えられているが、幻想郷では恋愛は熱病みたいなもので、結婚はまた別と考えられている。
むしろ恋愛結婚はあまり好ましくないとすら考えられている。
これが朝倉や里香女史が恋愛と結婚を分離して考える主な原因のようだ。


幻想郷で仕事をしていて驚くのが、殆ど全員が夫婦共働きであることだ。
専業主婦というものが幻想郷の中では「幻想」なのだ。
幻想郷では内職制度が盛んで家と職場はイコールなのである。
交通機関が発達して会社が遠くにあってもよくなってから専業主婦が出現したらしい。


さて、旦那の結婚適齢期を見てみると顕界と殆ど変わらないことに気がつく。
結局のところ経済力がついてくる25歳以上くらいじゃないと結婚できないらしい。
40位で結婚しても別に驚かれない。 奥さんは15〜19くらいだから
顕界なら確実にロリコンのレッテルを貼られそうだ。


沢山の嫁入り道具を運んで、二人でお金を出し合って買ったのかと尋ねたら小馬鹿にされた。
実は嫁入り道具はその名の通り奥さんが揃えるらしい。
奥さんがの器量がよろしくない場合は、割り増しになるというなんともアレなシステムである。
その代わり結婚できるのだからよしとするべきなのだろうか。


幻想郷では離婚についてもとてもドライである。 妖怪と人間のカップルも考えられることから
三行半というシステムがある。 つまるところ嫁入り道具と支度金を全額返すシステムだ。
妖怪同志のカップルの場合旦那が先に死ぬ前に支度金を全額返還するらしい。
いわば再婚許可である。


こういうシステムがあるため幻想郷の妖怪は恋愛経験も男女の関係の経験も豊かである。
幻想郷の妖怪を口説こうと考えている人はこの事情も考えた方がよい。