□月 ●日  No745 海路納品


船便で届いた大型機械の類を荷下ろし。
と言ってもチェックするだけで作業は鬼達に任せっきりである。


幻想郷でも大型機械と無縁というわけにはいかない。
金属加工用のプレス機とか、新聞の印刷装置など実は色々な機械が納入されている。


特に気を遣うのは金型だ。
河童から発注を受けて製作した金型を送るのだが、少しでも傷がついたら
金型の機能を失ってしまう。
特に金属加工の世界では、表面が少しでも平らでないと板が割れてしまうのである。
船便の場合特に荷物が振動するので、運ぶときもなにかとひやひやものだ。


大型機械はコンテナで運ばれる。
船便ではコンテナ単位での運び込みが基本だからだ。
よく車泥棒が自動車を密輸するときには、車を二つに切断してコンテナで運ぶという
話を聞いたことがある。


こと商品を注文するときにコンテナ入りにしたほうが何かと都合がいいのも確かだ。
色々名注文の中に幻想郷行きの荷物があってもあまり問題ないはずだ。


検査工程。
コンテナに水がかかってるためか妙に蒸し暑い。
ドックが独特の海の臭いに包まれる瞬間でもある。
河童はなぜか防護服を着ている。 塩分を多く含んだ海水がかかっているので
浸透圧の関係で脱水症状になるのを防ぐためだそうだ。


別の妖怪がなにやら涙目になっていた。
転んだ拍子に水を飲んでしまったらしい。
今まで味わったことのない海の水の味にショックをうけたようだった。


コンテナについたヒトデやらウニを廃棄。
ウニが食べられてしかも美味しい事実を言ったら
妖怪たちに鼻で笑われた。
同じ国でありながらカルチャーショックをどうしても感じざるを得なかった。