□月 ●日  No748 あるけあるけ運動


最近空ばかり飛んでるはずの妖怪少女達が
地上を歩いてばかりいる。
メトセラ娘に聞いたらなんでも地上を歩いていると健康になるという。
それは大いに結構だが少女達の靴はとても歩くには適していない。
あっという間に靴づれを起こして泣きながら薬屋のところへ診察へ行っていた。


自称現人神ピンチと他人事決め込んでいたら
苦情はこっちに来た。
薬屋が歩くのに適していない靴を使ったからだと言ったらしい。
治療費を払うか新しい靴を提供するかどちらか選べというから
全員にあう運動靴を一通り用意してやった。
稟議書は朝倉の名前にした。
自称現人神の使っているスポーツ靴のメーカーに依頼してあつらえた代物だ。


そうしたら、「恰好悪い」やら「ださいやら」みんなで好き放題言っている。
自分が弾幕ごっこできる能力の持ち主なら「ずべこべ言わずに履け」って言えるのだが
「騙されたと思って履いてくださいませ」と言うのが精一杯だった。


わりと言葉が通じる上白沢とメトセラ娘が靴を履いてくれたのでとりあえずほっとする。
メトセラ娘の靴は近代の歩きやすい靴だから無理に履き替える必要はないのだが
「面白そうだ」ということで履いてくれた。
思わず神様仏様って祈りたくなった次第。

二人が履きやすい歩きやすいと言ってくれたお陰で
皆がスポーツ靴を履いてくれるようになった。
相当歩いて履きつぶした妖怪もいるくらいだ。


が、ここに異論を唱えるカミがひとり
秋姉妹の妹である。
彼女曰く 裸足こそが真の健康を得る方法だと言い出した。
上白沢が流石に破傷風の原因になるからやめてくれと頼むが
「自分も大丈夫だから他も大丈夫」と言い出して収拾がつかなくなった。


結局、
二人の争いはそれっきりだった。
みんな歩くのに疲れて空を飛び出したからだ。
スポーツ靴もあっさり返却されたが、何故かマニアが原価より高く買ってくれたから
損失はゼロだった。 むしろ黒字である。


今では自称現人神がウォーキングを楽しんでいるという。