□月 ●日  No747 人知れず努力する者


プリズムリバー三姉妹の引き出しの広さには感服する。
一見陽気な音楽を流すことが仕事の彼女たちだが、
テクノサウンドを流している時があるのにはびっくりした。
かと思えば、ジャズミュージックを流してみたり、
そうかと思うとロックミュージックまで引き出しを持っている。


プリズムリバー家に行けば彼女たちの隠された努力が見られるだろう。
実態がないので基本家は荒れ放題だが、陶器やガラスの類が優先的に
割れているのがわかる。
これは彼女たちがいつも様々な曲の練習をしているからだと思う。


そんな彼女たちにも配達業務はある。
以前も楽器の補修部品を取り上げたが、それに混じってカードの類が入っている。
なんでもこのカードはリリカプリズムリバー専用キーボードの一種のサンプリングデータだそうで
これを使うと色々な音を奏で楽しむことができるらしい。
ただし、実際のところデータを自由自在に加工して利用するため
とても幻想的な曲へと発展できるようだ。


彼女が社交的であるには訳がある。 昼遅く練習しているため
商品納品時は概ね彼女が応対するからだ。
そこで色々名世話話をするのだが、前の担当者の所為なのか
狡猾に対応することを覚えてしまったらしい。
姉たちからの指摘でそれを初めて理解した次第。


普段BGMとして消費されている彼女たちの曲だが、少しはしみじみ聞いて損はないだろう。
少なくても夜雀と違って魅了するとかなどの害はない。
多少の騒音公害があるだけだ。


さすがに三人が悪魔系デスメタルバンドの引き出しまで持っていたのは
びっくりするやら唖然とするやらだったが。
あとで薬屋が三人に喉の薬を処方しているのを見て相当無理しているのだと感じ入る。
幽霊に効く薬っていうのもアレだが、あのデス声は十分外の世界で通用するだろう。


あとで音楽雑誌を買いあさる三姉妹の話を香霖から聞いた。
今度歌舞伎をやるのかと言われたので、在庫の本を見てみたら、メタルバンドの写真だった。
歌舞伎は無いだろ歌舞伎は。