□月 ●日  No757 jackass in 幻想郷


メトセラ娘とニート姫(語弊があるのだが)この二人の暇つぶしの為
とある企画が詐欺師兎より持ち上がった。
打ち合わせに来たのは今から数日前、そこには「jackass」の文字が躍っていた。
とりあえず無かったことにしようと試みたが無駄だった。


jackassすなわちジャッカスって奴はいい大人がアホなことをするというテレビ企画のことである。
幻想入りと言ってもはやった時期が時期なので微妙な位置づけとなっている。
映画を沢山所持する例の神社の中にそのディスクがあった可能性は十分考えられる。
もちろんおねえさんの趣味であろう。


企画書に目を通す。
そこには「妖怪の最高速に挑戦」とか「月の羽衣なしでロケットを飛ばす」とか
高天原からバンジージャンプ」とか
おおよそ安全性というものを微塵も考慮していない企画の数々が載っていた。
ネタに飢えている鴉天狗達の全面協力が下り、実行に移されることに。


最高速にチャレンジ
住吉三柱神のロケットを後部に搭載した列車で初期加速をしたあと、
乗車している綿月依姫メトセラ娘に韋駄天を下ろし、さらなる加速を行う。
死にものぐるいで飛ばないと後ろからやってくる列車に轢かれるという代物だ。
書いているこっちが頭が痛くなってくる。
依姫もかなり難しい顔で計画書を見ていた。薬屋が説得してくれたので参加することになったのである。


実験は、結論から言うと最高時速500kmを達成することが出来た
ブレーキというものが一切考慮されていないため
妖怪の山にそのまま激突、肉塊へと変りながらゴロゴロ転がっていき、復活という有様である。
本人は面白かったと言うのできっとそれでいいのだろう。


月の羽衣なしでロケットを飛ばすと空気のあるところを飛ばずに
高天原を経由して月へ向かうことになるものだ。
ちょっと前なら薬屋が難色を示しても不思議はないが事情が変った。
途中で酸素が無くなりニート姫が窒息していたが、ロケットは無事月に激突
破壊された。 結局姫は宇宙基地ミールにて回収。 すぐに息を吹き返した。
まあ、死なないし。


高天原からバンジージャンプ。所謂ワイヤレスバンジージャンプ
もっとも二人ともパラシュートがなくても空中減速できるのであまり心配していない。
宇宙服なしで高天原から自由落下。
大気圏突入するも、月の技術のためか姫は無事だし、メトセラ娘は体中に炎をまとって全くの無傷だった。
しかしいつまで経っても減速してくれない。 予定高度になっても減速しない二人を見て
薬屋が早く地上に着いた方が勝ちってルールを作ったのではないかと毒づいていた。
結局減速しないまま地面に激突。


あとには大きなクレーターと多額の衣服補修費用とは畑を抉った損害賠償請求だけが残った。
この模様はすぐに新聞で報じられ、色々な反響がきた。
「大笑いした」とか「腹がよじれた」という反響のほかに
「やめろ」とか「真似した少女妖怪が怪我した」など生暖かい声援がたくさん届いている。
二人の受けはいいが二度やってほしくないものだ。
結局謝るのは私の役目だからである。