□月 ●日  No769 八海山先生の料理教室


いつものように紅魔館に納品をしていたら珍しくメイド長から変な注文が来た。
何でも新たなるレシピの開発のために料理人を探しているとのこと。
幻想郷の外の世界なら何人か心当たりがあるが、幻想郷の人間を連れてきても
殺されそうな気もするし、仕方なくボスに相談してみた。
すると黄昏酒場から一人紹介するとのこと。
黄昏酒場の人間なら普段から妖怪と接しているので幻想郷でも問題なく行動できるだろうとの
ことである。


そして今日その人物を移送している訳だが
その人物は黄昏酒場の板前さん八海山氏である。
彼が選抜された理由は色々あったようだが
端的に言えば、メイド長の使うナイフに興味があったようだ。


どうにかメイド長と引き合わせることに成功。
迫力がありすぎる外見に最初は戸惑いがあったものの
ひよこおしぼりであっという間に打ち解けてしまった。


さて、肝心の料理だがここで致命的な問題にうち当ってしまった。
どうやってもメイド長が包丁使いについていけてないのである。
しかも能力が至るところで発動しているのか
手がどんどん荒れていることに気づいた。
慌てれば慌てるほどにミスが増える。


だんだんメイド長が苛々しているのが見ていて分かる。
板前さんもそれを分かって指摘しているのだが
図星であることを何度も指摘されれば、やがて苛々がピークになる。


半刻後、弾幕ごっこが始まっていた。


板前さんが普通にカードを使うのに周囲が驚く
ヴァンパイアの主人が私より強いと太鼓判を押していた。
事実ではあるが余計なお世話だ。


最終的にナイフと包丁の投げ合いはしばらく続いたが
お腹を空かせたヴァンパイアの主人が乱入して二人とも伸してしまった。
そりゃそうだ本当の目的は主人のための料理をつくることだから。


二人をたたき起こして無理矢理握手させて
何とか料理を仕上げたが、和風だか洋風だか分からないカオスな料理に仕上がった。
おそるおそる味見をしたら
やたらうまかった。 


ヴァンパイアの主人も美味しいと大騒ぎ
あまりの好評振りに妖精メイド達が味見にやってきた。
こちらも大好評。
図書館でもおすそわけされたノーレッジ女史達にも大好評だった。


こうなると二人とも現金な物で自分のことのように喜んでいる。
さっきまで喧嘩していたとは思えない。
考えてみたら板前さんも慣れないところで緊張していたのかも知れないし
メイド長もここで良い料理ができなかったらというプレッシャーがあったのかも知れない。


どの後は終始和やかなムードで今回の仕事は終了となった。
結果オーライである。



肝心なことを忘れていた。
美鈴女史の分がない。、