□月 ●日  No777 幻想ギャンブルマシン


香霖堂へ久々に顔を出したら珍妙な商品が店を飾っていた。
板の上に沢山の釘が刺さったモノリスと言うべきか、それはパチンコ台である。
もっとも今出回っているようなモニターがついているものではなく
全てが機械式で動く代物だ。
機械式のスロットが回って絵柄が揃えばアタリと言う代物である。


うちの会社にもパチンコ大好きな奴がいるのだが
顕界の妖怪の多くはパチンコ屋に出入りすることが出来ないと聞いたことがある。
所謂イカサマ行為をする輩が後を絶たないからだ。
人間か妖怪かを判別する技術についてはギャンブル業界が一番進んでいると朝倉が言っていた。


話を戻そう。
香霖はこれがギャンブルで使われる道具であることは分かるようだが
なぜ7が揃うと大当たりなのか疑問に思っているようだ。
確かに7という数字はなにか特別な数字のような気がする。
親の威光は7光と言うし 地震の最高震度は7だ。酸性アルカリ性を示すpHで中性を示すのも7だ。 
幻想郷では多数を示す8から一つ少ないという意味で7という数字は大きな意味があるかも知れない。


二人であれこれ考えていると、詐欺師兎とブレザー兎のペアが香霖堂へやってきた。
ブレザー兎は置いておいて幸運に関する造詣が深そうな詐欺師兎に7のことを聞いてみると
やはり7とは何かしらの霊力を備えていると考えて間違いないようである。


777という数字は米帝のカジノでジャックポットすなわち大当たりという意味である。
元々は野球で人気チームが7イニングスで逆転勝利をおさめることが多かったことに由来するとされる。
大きな均衡に至る直前の数字こそが7であり、力が最も膨張し破裂する一歩手前にあるという
意味で用いられるそうだ。
なるほど777という数字はコインが破裂する一瞬前と考えると納得できる答えである。


私が勝手に納得していると、香霖は詐欺師兎の言うことだから話半分で聞いた方が良いと言われた。
確かにそうかも知れないが、7という数字に色々な謂われとロマンがあると考えると
この数字はとても面白い数字に思える。


さて、二人がやってきた理由。 それはどうもこのパチンコ台を大量購入しに来たようだった。
香霖共々荷物運びに付き合わされる。
運び込んだ先は中有の道。そこには河城河童がかなり本格的な送玉コンベアを用意していた。
しかし銀玉なんてどうやって入手するのかと疑問に思っていたら、スペルカードを挿して
出てきた弾でパチンコを始めたでないか、あまりの事態にひっくり返った。


その後、パチンコ台は荒稼ぎが閻魔様にばれて踵落としで破壊されるまで
亡者達の財布から搾取し続けたという。 なんでも777が揃った試しがほとんどなかったらしい。 
ブレザー兎二号が大当たりを引いていたが後でサクラと分かったので通報しておいた。
閻魔様から感謝状が来たがあまり嬉しくなかった。